有り得ない……




それが俺の、この世界に来た最初の言葉だった。































「あーたいくつーハリポタ完結しちゃったしー萌えズ死んじゃったしー」

ハリポタ。それは、日本ではこの間完結した児童書だ。
俺の主な萌え源だったのだが、完結巻では俺の大好きで萌えだった子たちは死んでしまった。
(大体俺の好きなキャラは死んでいく悲しい性)(自分で言ってなんだがどんな性?)
死んでしまったら原作ではもう萌えれない。
俺のそんな悲しい性(そのに)。
仕方がないので最近は専ら小説サイトとか漁ったりしている。

が、

自分好みにカテゴリを縮小して絞っていくと、
自然と自分好みでストライクなサイトは少なくなっていくわけで。
ここまで言えば、わかるだろうか。
つまり。

……あぁ、暇だなぁ。

なワケである(どんなワケだ)。

「うーんこれから俺はどうやって萌えを補充すればいいんだ!」

それならお気に入りサイトの更新を待てば良いだろうと。
いいや、いいやいいや。
それがまた神とは非道なもので、自分好みであれば自分好みであるほど更新が遅いサイトだったりするのだ。これが。
大体俺のストライクサイトはそんなもんで。

「萌えが足りない……」

毎日、飢えていた。

「あーいっそのこと萌えと暮らしたーいッッ!!」

叫んでみる。
あまり意味はなかった。

あれ?

いや、意味はあったらしい。
なんか変だ。
木々が揺れる。
あぁそういえば此処は、野外だったな。
今更思う。遅い。
ご近所さんからひそひそと変な目で噂される日々が待っているだろうか。
ざああっ、と。
風。
のち、




















                             やみ。




















気がついたら。
俺は見覚えのない部屋にいて。

目の前には、見覚えのない人物がいて。

そしてそいつは、


「……誰だ?」


小首を傾げて可愛らしい顔で、言った。
……俺好みだなぁ。
少し長めの艶やかな黒髪、そして美しい血のような紅目。

「見たことのない顔だな……お前はデス・イーターか?」

デス・イーター?
聞いたことが、あるぞ。
それは。……それは、

「違うのか? では、闇祓いか。それともマグルか」

闇祓い。マグル。
俺好みの男が、透き通った声で、言っ た。
あぁ、


それ、 は


「……聞こえてないのか? それとも喋れないのか?」

俺の萌え源の本、ハリー・ポッター、の

「……それとも、喋る言語が違うのか? 日本? 中国? フランス? どの国だ」






















ヲタク的捏造済み超☆イケメソヴォルデモート卿じゃまいか!!































いや。



いやいやいや。いやいやいやいやいやっ!
シリアスだったじゃん。シリアスだったじゃん!
シリアスらしからぬ思考は消し線使ってまで消したのに!
っていうか。


っていうか!!








「……あ」




「あ?」





















「有り得ない……ッ」





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