「ん……っ」





くちゅくちゅと、いやらしく水音がなる





「っは、ぁ……、」





虚ろで、とろりとした目








「つめ……うつめ……」

「ふ、っ…………まっ……」





















はあ、はあ、


空目は、息切れしていた。
いつもの意志ある全てを悟ったような闇の目を虚ろにしながら、俺に寄りかかっていた。


「……っにを、する……」
「何って。……お前曰く、欠陥実験」
「そうじゃな……っは……こん、な……」
「深いキス、って? いつまでも軽いんじゃ、実験の意味がないだろ。慣れたら意味がない」

俺と空目は、ある実験(……と、言っていいのかはわからないが)をしていた。
『この欠陥製品は、どれほどの欠陥を持っているのか? ――其れは本当に欠陥なのか?』
空目は、自分から感情が欠陥していると、言った。
俺はそれを、欠陥製品だと、喩えた。
空目はそれに同意した。

俺は、そんな空目に酷く苛立ったのだ。

苛立ちを空目にぶつけた結果が、これだった。
まぁ、苛立ちというのを交わされた会話から読み取った人も、いるだろう。
――それは、キスだった。
俺は何故俺が行き成りそんなことをし出したのかは、わからない。
別に俺にそんな趣味はない。
男を恋愛対象として見たことはないし、男相手にキスしようなんて、思ったことはなかったんだ。

けれど俺は空目にキスをした。

何故だかはわからない。
わからない、わからないけれど――

「……せめて、宣告くらいはしてくれ」
「んん? いつもはそんなこと、言わないのにな」
「……いつもは、軽いだろう」
「あぁ……心臓に悪いから先に言ってくれって?」
「……」

空目は何も言わなかった。
所謂、“沈黙は肯定”である。
……まぁ、恥ずかしかったのだろう。
空目もプライドや恥じらいは欠陥していなかったということだ。

「……可愛い」
「なっ……」
「あ、照れた。恥は欠陥してないんだな、空目って。新たな発見だ」
「……っ」

顔を赤くして、誤魔化すように本へと視線を注ぐ。
……が、空目は耳まで真っ赤だ。誤魔化せていない。
普段の空目なら冷静沈着に色々と説き伏せて納得させようとするのだろうけど、
それすらしないということは、多分頭が回ってないんだろうな。
本だって、読んでるフリだけで全く持って内容が頭に入ってないんだろう。

「……なぁ、空目?」












「そろそろ、この実験も終わらせようか?」

















 
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でぃ〜ぷです