「――言葉に表すのなら。俺は感情が欠陥している」 奴は、本を目に傾けながら、無感情に言った。 俺は奴の言葉にどうしようもない苛立ちを覚えて、 「――」 触れ、 「――ぁ、」 た 「……なんで避けない」 「避ける必要性を感じなかった」 「……なんで驚かない」 「過度に驚愕するほどのことでもないだろう」 こいつは、自分のことをまるで他人事のように言う。 「……お前は欠陥製品だ」 「なるほど。欠陥製品とは、言い得て妙だな」 「……っお前は」 「嫌なことを嫌と思う気持ちすら、欠けているのか」 嫌なことを。 嫌だと、拒否することを、 「別に嫌だとは言っていないだろう」 「嫌だろう。嫌に決まってる! 同性の友人からキスされて嫌がらない男が居るか!」 「決め付けるのは良くないぞ」 「っうるさい!」 「……なら」 「なら何故、お前はこんなことをしたんだ」 ――何故? 「……な、ぜって」 「嫌なんだろう? 同性の友人とキスをするのは」 「……、」 俺は、何故空目に―― 「……欠陥、製品が」 「俺が?」 「……本当に、欠陥しているのかどうか。どこまで、欠陥しているのか」 嗚呼、俺は 「確かめたかっただけだ」 俺は何を言っているのだろう? 「……それで。結果はどうだったんだ?」 「知るかっ」 「無責任だな。自分のした実験の結果くらい、まとめたらどうだ」 「煩い、お前の所為で全部吹っ飛んだ!」 「なら」 苛々する。 こいつの言葉一つ一つに、苛々する。 「もう一度するか?」 全ての思考が、固まった。 ≫ * 実験という名の…