「陸だー!」
久々の陸! 街! 平和な一時! ああ、血生臭くないって最高!
「相変わらず陸に着くとお前はテンション高いなァ」
「当ったり前だろ! だって平和だ!」
「お前が乗船している理由がわかんねェよ…」
ああ、青い海、緑の陸! 本当、陸って素晴らしい…! 海水浴してもいいかな? いいよなッ!
うきうきと服を脱いで行ってきますを忘れずに船から飛び降りた。うおおお気持ちいい!
「うおッ、が飛び降りた!?」
「放っとけ、いつものことだよい」
あー、冷たい…気持ちいいなァ…。能力者は海に入れないなんて、可哀そうだ。海はこんなに気持ちいいのに。
「お前らも入らねー?」
「こっから海に飛び込むバカはお前くらいだよい」
「マルコには言ってませんー」
だからといってさすがに能力者に海へ入れと誘うほど俺は心は鬼じゃない。
むしろ能力者は丁重にお断りだ。この場で飛びこまれたら俺が助けなきゃならないからな。
生身の人間が服着たまま入ったらすげえ重いんだからな! あ、でもエースなら大歓迎!
「、縄降ろしておくからなー」
「ありがとーサッチー」
サッチは親切なリーゼントだなあ、本当。今度サッチが怪我したらうんと優しく介抱してやろう。
そのかわりマルコにはマキロン放射だ覚悟しておけよ!
「あー…気持ちいィー…」
海に浮かんで空を見上げれば、ゆっくりと流れる雲が見える。ひっくり返って海を見れば、優雅に泳ぐ魚が見える。
ああ、海ってなんて素晴らしい世界なんだろう…上も下も天国に見えるぜ。
上には青い空、泳ぐ雲。下には青い海、泳ぐ魚! なんて幸せ…俺死ぬ時は海に飛び込んで死にたい…。
「うみ…」
思い切り吸えるだけ息を吸って、海の中へ潜り込む。途端ぼこぼこぼこと音がして、周囲が真っ青になる。
透き通った水にきらきらと太陽が差し込んで、いつ見てもこの光景は幻想的だ。
エースと一緒に見てェなぁ、なんて思うがそれは一生できないだろう。エースは能力者だから、海には入れない。
勿体ない人生だとも思うがそれはそれで楽しさがありそうで、良い。中が見えないなら外を見ればいい。俺はごめんだけど。
こぽりと音をたてて酸素が零れ出た。もう限界か、と船の方へと戻る。じゃばじゃばと音をたてる水が心地よかった。
「ぷはぁっ」
「…あ、いた。おーいー」
今度は誰だと上を見上げればなんとエースだった。ぶふぉっとまだ沈んでいた体を浮き上がらせて、なにかと返事をする。
「向こうに森があるんだ、一緒にいかねー?」
「え! マジで!? 行く行く行く!」
さっきサッチに降ろしてもらった縄梯子を速攻で登る。海にはいつでも入れるがエースの誘いはノットいつでもッ!
まだ入りたりねェけど海はまだ明日にでも飛びこむとしよう。うはは、エースから誘い〜!
「ついでに何か食いモンでも探そうぜ、果実とか」
「いいねいいね、なにがあるかな」
速攻で体を拭いて服を着る。荷物は…いつもの鞄でいいか。余分なものは別にいらないだろう。
「あんま拾い食いすんなよい」
「変なのは食べないって!」
あー、でも一応短剣は持っていこう。探検するんじゃ必要…べ、べつにギャグじゃないぞ!
…うーん、護身用のものはいらない…か? 変な動物が出てもエースいるしな。んー別にいいか。
「じゃ、行ってくる!」
「夕方までには戻ってこいよい」
「あいよー!」
その言葉にマルコ俺たちの母さんみたいだ、と本人に言ったら怒鳴られそうなことを思った。










マルコは保護者