「違います! そうじゃなくて……」 「違う? じゃあどんな意味だよ?」 「そ……その……」 こほん、と咳払いをして、今度こそと覚悟を決める。 こ、今度こそ、後戻りはできないんだ……。 「名探偵……よく、聞いてくださいね」 「お……おう」 「……私は、貴方が好きです。私とお付き合いして、いただけますか?」 流石の名探偵も怪盗に求愛されるだなんて思っていなかったのか、目を見開いている。 そんな珍しい面も緊張しすぎて、あまり見られなかった。 「……つまり、それって……キスとか……する、あれだよな?」 「はい」 「言っておくけど、オレは男だ」 「私も男です」 それでも、大好きなんです。 好きすぎて、性別なんて関係ないほどに。 「……本気か?」 「はい」 冗談で、こんなこと出来るものか。 心臓が煩くて、静まらない。 「……気持ち、悪いですよね。男だし……」 「その上声も顔も、同じだから?」 「……」 名探偵の顔とオレの顔は、酷似している。 性格の差により些細な差などは置いておき、 あまり親しくなければ間違われるほどだ。 声も似ている所為か、余計に。 変装してこの顔ではないと、名探偵は気付いていたのだ。 「知ってるか? キッド」 「……え?」 「オレの母親はな、自分が好きなんだ」 「……はい?」 急に、なんの話だろう。 母親? 「オレは性格の方は母親譲りでな」 「……?」 「そんなにってわけじゃねえが、少しはそういうところもある」 それ、って。つまり…… 「いいぜ、OKしても」 「えっ?」 「ただし、オレはお前のことを好きなわけじゃない」 「う」 ……好きじゃ、なく、ても。 OKしてくれるほどの、好意は…… 「怪盗なら、オレの心も盗み出してみろよ」 「え……っ?」 「精々頑張れよ、オレと正反対の怪盗キッド?」 文句は受け付けない(^ω^)