「よぉ、怪盗KID」
「名探偵……」

整った顔が不敵に笑いながら、其処に待ち構えていた。
待っていてくれた。見ていてくれた。解いてくれた!!
色々な想いがこみ上げる。

「オレに何の用だ? わざわざ招待状まで送りつけてよぉ」

眠たそうに目を擦りながら、嫌そうに言った。
工藤新一は、とある事情によりつい最近まで小学生として生活していたのだ。
恐らく、お節介な幼馴染によってすぐに就寝させられていたのだろう。
きっと、もの凄く眠いのだ。
……あぁ、やっぱり迷惑だったろうか。

「――来てくれて、ありがとうございます。名探偵」

でもめげちゃ駄目だ、キッド!
当たって砕けようと、決意したばかりじゃないか!
あぁでもヤバい、顔が熱い。バレてないかな。震えてないかな。
綺麗にお辞儀はできたかな。

「ややこしいのはいらない。用件をさっさと言え」

前は虎視眈々と狙ってきて捕まえようとしていたのに。
何もせず、彼はただ前で待ってくれているのは、
こちらから呼びだしたからだろうか。
それとも警察が来るまでの時間稼ぎだろうか?

「その……えっと……何というか……」

あぁ、もう! 言葉が出ない。
頭が真っ白で、何も考えられない。
ただ足がガクガクと震えていて、とても情けないことだけはわかった。

「……キッド?」
「え、と……」

どうしよう。何も言えない。
これじゃあ、名探偵に嫌われてしまう。
……そんなの、嫌だ!

「めっ……名探偵!」
「お、おう」

何も言わずに嫌われるくらいなら。
何も言わずに、会えなくなるくらいなら!

「私と――」

 

 

 

 

 


「私と、付き合ってください!」