「なに見てるの?」
ヴィオレットの視線に屈み込んでガラスの奥を見ると、
骨董品屋だろうか、古い人形や壷がたくさんある。
「むしゅう」
「ん?」
屈んでもやっぱり僕の方が背が高いからか、
自然と上目遣いになっているヴィオレットが可愛い。
「あの人形」
ヴィオレットの指差すは、可愛らしいヒラヒラのドレスを纏ったフランス人形。
人形に興味を示すだなんて、やっぱりヴィオレットも女の子だったんだなぁ。可愛い。
「欲しいの?」
買えるかなぁと思いつつ尋ねれば、ふるふると首を振られた。
あれれ、それじゃあなぁに?
あの人形にロマンを感じるのかな。僕は感じないけど。
人形同士にしか感じられない知られざる物語とか……あ、それ超気になる。
「可愛いですか?」
「……? うん、可愛いね」
見ようによっては大きな瞳が怖いけれど、
普段動いて想って世話をしてくれる人形が傍にいる僕に人形は怖くない。
むしろとてつもなく可愛く見えて、双子に合うかなぁとも思う。
「どっちの方が可愛いですか」
「どっち?」
「私と、」
君と。あの人形の。どっちが可愛いかって?
……ほんと、かわいいなぁ、ヴィオレットは。
「そんなわかりきったこと、訊くんだ?」
そう言った後のヴィオレットの笑顔は今までで一番可愛かった。
断言できる。

 











このむしゅうはキモいと。