黒ずくめだった。 黒いコート、黒い服、黒い靴。 すべてが黒だった。 その人は、真夏だというのに、真っ黒だった。 じっと家を見つめていた。 見つめていた家は、友人の家だった。 人が出てくるのを待っているセールスマンか、客か、ストーカーか……はたまた、別の人か。 それが友人の家だろうと、私は関わらずにそっと離れた。 お葬式だった 友人が死んだ。 昨日、あんなに元気だった友人が。 笑顔でおはようと言ってくれた友人が。 笑顔でばいばいと言ってくれた友人が。 死んだ。 友人が一人死んでも、私の人生は変わらなかった。 なんて酷いのだろう。 けれど、私の人生は何一つ、変わらなかった。 ふと後ろを振り向くと、黒ずくめの男の人が居た。 「すみません、あなたは白雪 水さんですか」 「え……? あ……は、はい……」 「お時間です」 すべてが、くろへとうつりかわった。