くろ。くろくろくろくろ。

くろくろくろくろくろくろくろくろ。

くろ、

扉が開く







扉に 入






















「……れずに起きちまうんだよなぁ」

夢を見る。
真っ黒な空間、真っ黒な廊下。
真っ黒な道を二人で進む。
一人は俺、一人は誰か。
誰かが一つの扉の前に止まる。扉も真っ黒。
そして誰かは扉を開け、俺に入るように促して。
そして。俺はその扉に、

「いつも、入れずに居て……」

どうして入れないのか。
そんなことは、知らない。
扉の奥。いつも入れずに終わる、扉の奥。

「あぁ……」

どうしようもなく、気になるのだ。

「気になって、仕方がないのに」

真っ黒。真っ黒な空間で、真っ黒な扉。真っ黒なのに、妙に目立つ扉。
“誰か”は俺を扉に入れようとしている。
その“誰か”が誰かもわからずに、

「でも、気になって仕方がない」

嗚呼、どうすればあの扉を潜れるのだろう?

「好奇心は猫をも殺す、」

そんなことは知るものか。人は気になったら、するまで気になるんだ。






 

 








潜れない扉
                        (潜らない方がいいのに、)











くろ。くろくろくろくろ。 くろくろくろくろくろくろくろくろ。 くろ、 扉が開く 扉に 入 った。 「いらっしゃい、」 「……ぁ」 「君は中々我慢強くて、会えなかったけど」 まさか自ら会いに来てくれるとはね、 「……、ぅあ」 「馬鹿な人だね」 嗚呼、 見つかって      し  ま った 「君はもう、僕のものだ」 潜ってしまった扉           (潜らない方がいいのに、)