「ルシウス、こいつはだ。オリバンダーの杖を用意してやれ」







ヴォルデモートがルシウス・マルフォイに伝えたことは、それだけだった。
……エー。
簡潔すぎんだろ? 簡潔すぎんだろー!?

「……えと。よろしく、ルシ……、」

いや、待てよ。
一応敬意は示しておいた方がいいんじゃないか?
こいつプライド高そうだし。
うーん……

「お初にお目にかかります、様。ルシウス・マルフォイと申します」
「え、あ? あぁ……うん。よろしく、Mr.マルフォイ……?」

え? なんで敬語?

「オリバンダーの店へお伺いですか」
「あ、うん。杖が欲しいんだ」

……あ、れ。
もしかして、これってさ、俺、魔法使いじゃないってバレたら殺されないよな?
……どうしよう。
うん……言い訳しよう。

「……新しいやつ」
「承知いたしました。とっておきのものを用意させましょう。どのような杖を御所望で?」
「あ、実際に見て買いたいんだけど……だ、駄目かな」
「……では、姿現わしを致します。こちらへ」
「あ、ありがとう」

……うーん、俺って嫌われてるのかな。
なんだか冷たい……。





ぱん!





うおッ!?

え? え? あれっ!?
あ、そっか、今の姿現わしの例の過激な音か。
……あー吃驚したー。