「ここは……」

さらさらと 流れるように枝垂れ桜の花が優雅に舞う。
季節はずれの桜。うつくしい、さくら。

「…あ、」

木の上に、誰か――いる。
その姿は見るまでもなく、此処にいるのは彼しかいないわけ、で。
美しく長い白銀の髪、そこに隠れる微量な黒髪。
そして切れ長の瞳を見るべくそっとその顔を覗きこめば。

「……寝て、る?」

すぅと安らかな寝息を立てながら静かに眠っている彼の姿。
彼を起こさぬようにと音を立てず彼の隣に座れば、
はらと彼の髪に乗った桜が落ちた。
そして――