「よよよようこそ。よこうそムーンサイドへ。ムーンイドサへ。ムンーサドイへ。よよよおよよおうこそ。こそようンサイムドーへ」

そこはカオスの街だった。
みんながみんな薬でぶっとんだように狂っていたし、
いきなり人をワープさせる男もいた。
私の大好物が嫌いだという男もいた(形容はとても美味しそうだったけれど)。
バグった機械のように喋る男もいた。
まゆげがつながっていて金歯の男がいなければ通さないと言う男もいた。
溶けて朽ちた時計や壊れたプラグ、誰が描いたのかわからない謎の絵画も歩いていた。
そしてその時計やプラグ、絵画は襲ってきた。
助けを求めて叫んでも、誰も助けてくれなかった。
あぁそうか、ここは気が狂った人しかいないんだった。
再確認した。

「よよよようこそ。よこうそムーンサイドへ。ムーンイドサへ。ムンーサドイへ。よよよおよよおうこそ。こそようンサイムドーへ」

あぁ、新たなお方が此処へいらしたの。
ようこそ。ようそこ。よよそうこ。よう、こそ、ムーンサイドへ。
今では私もムーンサイド。
あぁそこの貴方、赤い帽子の貴方、ねぇどこから来たの?
どうしてムーンサイドを? いつまでムーンサイドに?
あぁ、この言葉、私もどこかで聞いたかしら。
そう、たしか、随分、ま、え……に……

「よよよようこそ。よこうそムーンサイドへ。ムーンイドサへ。ムンーサドイへ。よよよおよよおうこそ。こそようンサイムドーへ」

いつだろう。いつのこと?
いつのことだろう。いつのことだろう?
いいいいいいいいいいいいいいいいつのことだろう。
い? つのことだろう。
いつ? いつ? いつ? いつ? いつ?
いつつつつつつつつつつ? いつ?

「よよよようこそ。よこうそムーンサイドへ。ムーンイドサへ。ムンーサドイへ。よよよおよよおうこそ。こそようンサイムドーへ」

あれ?
どこからムーンサイドに来たんだっけ?
いつからムーンサイドにいるんだっけ?
どうしてムーンサイドへ来たんだっけ?
あれ?



――あれ?


















気づけばそこは、バーのカウンターの中だった。

「お客さん、カウンターの中に入られては困ります」
「……すみません」









私、何してたんだっけ?





















*
ムーンサイドの住人になった人