「あれ? ってそんなんつけてたっけ?」 「うん?」 「首の」 首? 見下げる。ロケットのことだろうか。 「これ?」 「そう、そのロケット」 そんなん、つけてたっけ? と、ラビ。 まぁ、つけてなかったね。良く気付いたね、ラビ。エライよ。プラスだ。 「どうしたんさ?」 「んー、貰った」 「……誰に?」 「なに、嫉妬してるの?」 「べ、別に」 アレなにコレ、ツンデレ? ラビ、ツンデレ化? 変だなラビはデレデレヘタレのはずだったんだが。 「ロケット、だよな。それ」 「うん? そうだよ」 「……なか。何、入ってんさ?」 「気になる?」 こくん、とラビが素直に頷いた。 そうそう、それでこそラビ。ラビは素直が一番。 「んー」 どうしようかな。見せてもいいのかな、これ? うーん、でもなぁ。今は知らないとはいえ、何れ知ることになるわけだし。 それにラビの写真が入っているわけでもない。 なんだか期待しているようにも見えるケド。残念、入ってない。 「これはね、家族の写真が入ってるんだ」 「……かぞく?」 「そう、家族」 見せて、と言われたらさてどうするか。 「って、家族、いるんさ?」 「うん? うん、いるよ」 可愛い可愛い妹がね。 あの子のことを思うと、コムイのことも馬鹿にはできないくらいさ! 「――じゃあ、エクソシストになったこと、後悔してる?」 「後悔? どうして」 「だって、会えないだろ。家族と」 「……そう?」 毎日とまではいかなくとも、俺、結構頻繁に会ってるけどな。 妹……ロードにも、ティキにも、千年公にも。 「えっ、まさか、会ってんの?」 「これがあるからね。毎日会える」 このロケットは、ロードの空間へと繋がっている。 そのお陰で、カンタンにみんなに会える。ロードには感謝しなくちゃね。 まぁ、このロケットを使って会いにいくことはあまりないけれど。 「……あぁ、」 そっか写真か、とラビがロケットを見つめる。 そんな目で見ないでよ、可愛いじゃないか。 「どんな家族、なんさ?」 「ん? ……そうだね、楽しいよ」 「へー」 「一緒にいると、本当に家族みたいで」 「……あれ? 家族って、本当のじゃなんさ?」 「ウン、家族みたいな人たちだよ」 妹のようなロード。ペットのようなレロ。 友人のようなティキ。父親のような母親のような、千年公。 弟のような双子。オジのような甘党。兄のようなシェリル。 執事やメイドのようなアクマ。みんなみんな、俺の大事な家族だ。 「ふーん……良い人?」 「そうだね。みーんな、ヤサシイんだ」 ただ家族以外には、キツイとこもあるけどね。 甘党なんて甘くないものを作れば容赦なくグロが公開される。 「……なに? ラビ」 「へっ?」 「なんか、ずっと見てる」 「や……見せて欲しーなぁ、なんて」 「ロケットの中を?」 どうしようねぇ。今見せちゃったら、ダメだよね。 俺と、ティキと、ロードと、千年公と、レロの五人で撮った写真。 残念ながら双子と甘党は時間が合わなかったためにいない。 ティキは聖痕を隠した。ロードは白い。 でも、何れみんなラビ達と出会う。見せられないデショ、写真は。 それに千年公、ソノマンマだしさ? 「んー、だぁめ」 「……どうしてさ?」 「ラビ、嫉妬しちゃうデショ?」 「しねーよ、嫉妬なんて」 「ウソツキ」 ラビがああ見えて嫉妬深いの、知ってるんだからね。 「見せてあげない」 「、の意地悪」 「イジワルでケッコー」 それに意地悪すればラビは可愛いでしょ? まぁコレはイジワルじゃないんだけどね。