「おいで」
「はい」

俺が自分で作ったAKUMA。
生きた心を用いらず、死んだ魂を利用する。
必要なのは死んだ魂とカラダだけ。
作り方は誰にも教えてあげない。俺は傍観者だから。

「出かけるから、ちょっと付き合え」
「わかりました」

生前の記憶はない。消した。
消さずにいることも可能だけど、記憶があることを嫌がるだろうと思って消した。
嗚呼俺って優しい。アクマのために動いてあげてるんだから。

「あ、腹は空いてない?」
「……少し」
「じゃあ今の内に食べといて」
「……はい」

俺のアクマは、人は殺さない。殺人衝動は、ない。
その代わり、血を渇望するようにプログラムされている。
衝動自体は抑え込めなかったからだ。
つまりコイツの食事は俺の血液。
アクマが鋭い爪を伸ばして、ツツと俺の首筋を裂く。

「ん、痛い」
「申し訳御座いません」
「はやくして」

はい、と返事をした声が少し掠れているのは、空腹だからかな。
少しだけと言いつつ、本当は腹減ってるんじゃん。
ガマンはカラダに良くないのに。

「オイシイ?」
「はい」
「そりゃ良かった。飲み終わったんでしょ? じゃあ出かけよう」
「わかりました。お召し物は如何なさいますか」
「お前は着替えてきて。俺と並んで不自然じゃないカッコね」
「団服ですか?」
「それはダーメ。私服」

深々と礼をし、失礼しますとアクマが出て行った。
さて、どんな私服を着て来るかなぁ?
そう思ってすぐに、アクマが戻ってきた。カジュアル路線だった。

「お待たせしてしまい申し訳御座いません」
「ん。行くよ、アクア」

アクアというのはアクマの名前であって、誤字ではない。
ただし由来は誤字だケド。マとアって、小さい頃よく間違えたよねぇ。
ま、英語圏じゃ通じない由来だろうけど。

「今日は何処に?」
「買い物。この間、ティキにマグカップ壊されたでしょ」
「あぁ……」
「あれ気に言ってたのに。まだあるかなぁ」

言ったらまたイラついてきた。
今度ティキをこらしめてやろう。