「しりうす〜」 瞳は潤み、火照ったその顔は凄まじい。 なんかもう……オチない方がおかしいと思う。うんオレが一番おかしい。わかってる。 「将軍……飲んだんですか?」 「ん……すこし、だけ」 「少しって」 あたりに転がった瓶の数が尋常じゃあないんですけど、 まさかこれあんた一人で飲んだんですか? いや嘘だと言ってくれ。こんな数、飲める方だと言われるオレも飲めない。 「シリウス……」 「なんですか。水でも持ってきましょうか?」 「いい、いらない、何処にも行くな」 なんかもの凄い言葉な気がする。 「どこにも、いかないでくれ」 「……閣下?」 「ちがう。おれは、エレウセウスだ」 「……エレウ、セウス、さん?」 「ん……」 とす、と閣下が胸に寄り掛かってくる。 ちょ……やめて心臓の音が! 聞こえちゃう、聞こえちゃうって! 「シリウス……」 「しょうぐ……エレウセウス、さん?」 もうすぐ30のおっさんがなに男相手にドキドキしてんだ、ホント…… いっそ泣きたい。ていうか泣かせて、お願いだから。 「シリウス」 「え、」 首に腕を回される。抱き、しめられた? ……え? 「え、ちょ、あ、あの!?」 「ん……」 そのまま将軍が瞳を閉じて、ゆっくりと――ってええええええええええええ 「まっ、待ぁあああああああああ!!!!!」 一気に将軍の顔を押し退ける。 グキリと音がしたような気がしたことは、この際置いておいて。 とりあえず、あとでグチグチ言われることは覚悟をしておくとして。 「んぅッ……ぃっだぁあ!?」 「だ、駄目です! なにしてんですか!」 「なにって」 あ、やっぱいいです言わないで! 「キス」 言わないでって言ったのにぃいいい! 「あ、あ、あのですね、将軍!」 「エレウセウスだ」 「エレウセウスさん! いいですか、キスというのは!」 あ、駄目だ、長い話は聞くつもりがない。 明らかに耳を塞ぐ予定のある顔だ。 仕方ない、簡潔に……簡潔? キスの簡潔な説明って、なんだ。 「そ……そういうことはっ、好きな人、に、だけっ……してください!」 心臓が持ちません! 本当に! あと自我がどうにかしそうです!!! 「? シリウスのことは好きだぞ」 いっそころしてください。
シリウスさんとエレフさん。