「はい、俺様特製ごはんっ」 「今日も美味そうだな」 毎日佐助の飯が食える俺は幸せだ…。 どうして佐助はこんなに料理が上手いんだろうか、そのスキル俺にも分けて欲しい。 同じ食材を使っても俺が炊いた米は残念ながら立ってはくれない。 「だーめ。が自分で料理作れるようになったら、俺様の役目がないでしょ」 「そしたら二人で作ればいいだろ」 「…だめ」 「なんで」 実は佐助と一緒に並んでご飯作るのがちょっと夢だった俺涙目。 そうかー…そんなにいやかー…。 「ご飯の支度はお嫁さんの仕事だろ?」 「…そうだね、ハニー」 「南蛮語嫌い」 「月が綺麗ですね、愛しの人」 「…ごめん何言ってるかわかんない」 「愛してるよハニー」 特にさっきの顔は可愛かったよ。 佐助の「南蛮語嫌い」は大体照れ隠しか冗談か機嫌が悪いかだ。 基本的にお互いお気楽主義なので冗談で返せば万事解決なことが多かったりする。 「お、俺様も…」 「ところでこの肉じゃがは何か隠し味でも入ってるのか?」 「え? あ、いや、特には…」 「うーむ、どうしてこうも味が違うんだろう」 料理の腕ってかなり厳しいよな。 下準備、煮込み具合、味付け具合、盛りつけ、もう芸術に近いと思う。 そういうことが苦手な俺はぶっちゃけ忍としてやっていけない気もする。 だってしょうがないじゃない元は一般ピーポーだもん。 「…またスルーされた」 まあそれならどうして忍者やってんだって話だよなぁ。 しょうがないじゃないか、何故か身体能力が上がってたんだから。ビバ☆好都合。 「ん? ごめんなんか言った?」 「べーつに」 「? …あ、そうだ佐助、明日の昼はいらない」 「え、一日二食で生きられるの?」 「平気だって、べつに」 そもそも武田に入る前は二食どころか一食ないときだってあったんだ。 「俺も忍だからな、飯くらいなくたって」 「よく言うよ、一日たっぷり三食も食べてるくせに」 そんなことを言われても、俺は元々一日三食生活だったんだ。 確かにこの時代は灯りがないからエネルギーは必要ないんだろうけど、 今までがっつり食べていた俺にはエネルギーが追いつきません。 「そういう佐助だって、俺と一緒に食べてるじゃないか」 「俺様はいいの、忍だからいっぱい動くからね」 「俺だって忍だぞ」 「は深夜に働くことが少ないじゃん」 まあ、そうだけど。深夜生活とかマジ無理です。 そうか、こういうところも忍失格か…。 「それに、はお日様の下で笑ってるのが一番だし」 「…それはこっちの台詞だ、ばーか」 なんだそれ、殺し文句か。口説いてるのか。本気にするぞこのやろう。 「佐助のが俺より笑うだろ」 といっても俺はチキンなので何もしません。 俺ってば我慢強い! 「…あっ!」 「うん?」 「ごめん、旦那のおやつの時間になっちゃった。ちょっと一人で食べてて!」 「あー、わかった」 いいなあ、幸村。佐助の手作りおやつ…。俺も強請れば作ってくれるかな? 今度それとなく聞いてみよう。佐助が疲れてなかったら作ってもらおう。 「佐助ぇぇえええ! 某甘味が足りないでござる!」 遠くから、幸村の声がした。 お前なんか太ってしまえ、幸せ者め。 * くっついてるようでくっついてない。 すれ違ってます。