武田さんに招かれました。
雇われ忍者な俺に久々のお仕事の予感と思いきや、
何故か客人のように扱われています。
…何故に?

しかもあれよこれよと優遇され、ついには夕餉のお時間です。
わあ、美味しそう。固形が食べられるなんて久々だぁ


「…美味いな、これ」
是非レシピをお教えしていただきたい。
まあ俺料理なんてできないんだけど、いつか母さんに作ってもらいたい。
「本当?」
「うん。いい人雇ってんだなぁ、武田って」
「実はそれ、俺様が作ったんだ」
「佐助が?」
マジでか。これ佐助お手製? すげー美味いじゃん。
やばい、幸村が超羨ましい。佐助お前ちょっと俺と結婚してくれ。
それは冗談としても本当に美味いなー。
「良い嫁になりそうだな」
「そう思う?」
「うん」
「…じゃ、の嫁になっちゃおうかなー、なんて」
「うん…うん?」
あれ? 今なんて言ったの? 幻聴? ですよねー。
「どう思う?」
「うーん、佐助に迷惑にならない程度に毎日食べたい味だと思う」
「味じゃなくて…。でも、それも嬉しいからいいや」
「ん?」
佐助が少し顔を赤くして微笑んでた。
あれ、なんか佐助喜ばすようなことしたか?
「ねえ、なんなら、毎日作ってあげるよ」
「本当か?」
「うん。…あ、でもは武田勢じゃないから、毎日は会えないかな?」
な ん だ と … ?
何故俺は雇われ忍者なんだ!
「入る、俺武田に加勢する」
「えっ! 本当?」
「佐助の飯食えるならなんでもする」
「…本当に?」
「ああ」
お前の飯にはそれだけの価値があるぞ、自信を持て!
「だから俺に毎日朝飯を作ってくれるか」
「あれ、朝だけでいいの?」
「できれば昼も夜も作ってほしい!」
「…じゃあ、武田に入って武田のために戦う? 撤回はなしだよ?」
「戦う!!!」
…ん、あれ? なんで武田のお話になってるの?
と変な流れに気付いた瞬間、スパァンと襖が突然開いた。怖っ
「今の聞いた旦那! 、武田のために戦うって!」
「…へっ?」
「真でござるか殿ぉぉおおおおおおおおおお!!!」
「うぇえええ?」
え? え? なに? え?
誰か状況のつかめてない俺に30字以内の説明を!
「某感動した! 殿の暖かな心に感涙したでござる!!」
「は…はい?」
どうして幸村は男泣きしてんの?
どうして佐助は後ろで笑ってんの? 畜生可愛いなッ!
つーか暖かな心ってなに!?
「佐助よりも少ない給金で武田の為に命を尽くすことを約束なさるとは…!」
「す、少ない給金…?」
「ちなみに俺様がこんな感じ」
すっと後ろから佐助の腕が伸びてきて、その手につかまれた紙を見る。
…少ない、給金?
「男らしい、男らしいですぞ殿ぉおおおお!」
相変わらず幸村はテンション高いな、俺はついていけねーよ。
「…佐助…どういうこと?」
「うーん、つまり俺様がをうまく丸めこんだってことかなぁ」
「What?」
「俺様南蛮語嫌い」
オーケィ、今から英語は禁止だ。さらば積み重ねた教養!
「冗談だよ。…まあ、一言で言うと、はこれから武田に仕えるの」
「佐助の手料理は?」
「…怒らないの?」
「なにが」
つまりあの給金で佐助のご飯三食食べれるってことじゃないの?
あれ? 俺の勘違い? ザ・恥ずかしい?
「だってこれ、騙したようなもんだよ」
「…? どこが。え、ひょっとして佐助の手料理なしとか?」
「いや、ご飯は作るけど…そうじゃなくて、給金とか」
「? 十分じゃないか」
「え?」
「え?」
え、少なくない…よな、別に。
「佐助よりも少ないって言ったって、少しだろ? 佐助のだって十分多いじゃないか」
「……っていったいどんな生活してたの…?」
「不定期日給だからな。安定するという点が一番素晴らしい」
「…思ったより苦労してたんだね、…」

「まあ、なにより」
「?」



「佐助と一緒にいられるっていうのが、一番の理由だけど」