どがっ、


「イ、ヴェ……ぁぐッ」
「どうしたの、。痛い? ふふ、痛いの?」



月光のみが降り注ぐ暗い牢

其処に佇むは、二人の青年


一人は血塗れで

一人は血塗れだった


二人は、血塗れ。



「あはは、そっか、痛いんだぁ……」
「……カ、は……ッ」
「血なんて吐いちゃって。――嗚呼、の血は鮮やかな真紅だね」
「い、ヴぇ……ル……っ」
「なぁに? どうしたの、?」



薄暗い檻の中

血塗れの青年が二人


一人は自らの血で塗れ

一人は返り血で塗れていた


二人は、血塗れ。



「はッ……ぅ、」
「んー……」



月光に反射する刃

妖艶に紅く光る刃


一人は刃を紅く染め上げ

一人は刃を紅く染め上げた


二人は、刃を染める。



「もう、真っ赤だね、……」
「い……ヴェ、る……な……でッ」
「なんで? なんでって、なにが?」
「こ、……な、こと……ど、ぅ……して……ッ」

「あぁ……これ? だって、綺麗じゃない」

「……き……れい?」
「綺麗でしょう? 紅く染まった刃が月光に照らされる瞬間が、とてつもなく綺麗」
「……そ、な……ことで……」
「そんなこと? そんなことって、なに? 下らないと思ってるの?」


「下らないじゃないか――ッ!」


「ぁぐッ」
「下らない、ね。ふぅん、君には綺麗に見えない? そう、見えないの」
「あ、……ぅがっ」
「あはは、じゃあ綺麗に見えるまで、これを紅く染めてあげる! 大丈夫、死ぬ前にはやめてあげるよ! あはははははは!」












男の遊戯は、男が飽きるまで続くのだろう




男は、ただ男の狂気に絶え続けるだけ――

















お題提供元 [ ロメア ] 黄昏が夜に傾いてしまったら