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双子のカウントダウンと共に、地平線から見えてくる輝き。
その幻想的な光は、とても綺麗だ。

「明けたー!! わーわー、初日の出ー!」

「そうだね。綺麗な太陽だ」
「キラキラと地平線を光らせて、幻想的ですなぁ」
「まるでこの宝石が光っているみたいで、素敵ですわ」
「ロマンチックですわ」
「双子もそう思うほど綺麗な太陽なのだから、イヴェールにはもっと綺麗に見えてるんだろうねぇ」

「ねえねえ見た? 見たっ?」
「勿論見てたさ。君と一緒に見ていただろう?」
「綺麗だったね!」
「そうだね」

輝かんばかりの笑顔で話しかけてくるイヴェール。
初めての日の出を見て、嬉しいのだろう。

「が物語を持ってきてくれたお陰ですわ!」
「Merci,monsieur! 嬉しいですわ! monsieurも大喜び」
「そうかい? それは良かった。日の出を見てみたいと、前に言っていたのを思い出してね……」

一度でいいから、日の出を見てみたい。とても綺麗なんだろうな。
そんなことを言っていたのを、ふと思い出したから。
イヴェールには言わずに、双子にだけ言って深夜まで起こして。

「これ、ソバ、でした? とても美味しいですわ。が料理も出来るなんて知りませんでしたわ」
「それはよかった。イヴェールも美味しそうに頬張ってくれてたしね」

SHKに戻ってまで仕入れてきた甲斐があったよ。



■明けた瞬間。初日の出の物語を見て大はしゃぎの冬天秤のおはなし。 ■そしてオチなし。 「あー! 僕のたまごっ!」 「煩いわね、名前なんて書いてなかったじゃない」 「僕が狙ってたのに!」 「ああもう、喧嘩しないで…ほら、私のをあげるから」 「本当!? ありがとう!」 なんだこれは、玉子焼き戦争? 何故か玉子焼きが人気だった。 甘い砂糖入りの玉子焼き。 ……味覚が、子供…? 「ライラ、喧嘩ハ…」 「煩いわよシャイターン! あんたは昆布でもお食べ!」 「……」 「シャイターン、別に昆布だけ食べなくてもいいのだが…」 「ライラガ…」 「まだいっぱいあるから。ほら、数の子なんてどうだい? この黄色いの」 「……」 プス、とフォークでさして、バクりと口の中に入れる。 …これは本当に悪魔なのだろうか…。 やけに可愛い。そして尻に敷かれている。 「…プチプチスル……」 「嫌いか? なら…」 「おや、悪魔は数の子が嫌いなのかね? それは知らなかった」 「ソモソモ、“食ベル”トイウノガ初メテダ…」 「ふむ…やはり悪魔は食事という概念がないのか…」 「…」 …ずっと気になっていたが。 「何故お前が此処にいる? 賢者」 「おや、私がいてはいけないのかね?」 「私はお前に料理を食べることを許可した憶えはない」 「おやおや、私も招待されたのだがねぇ」 「うるさい、食べるな! そして数の子ばかり頬張るな、腐れジジイが!」 コイツは味覚がジジイだな。 通常だ。うん。 これでコイツまで玉子焼きを食べていたら吐くところだったが。 「そうですわサヴァン! 貴方が数の子ばかり食べるから、私達の分がないですわ!」 「そうですわ!」 「…双子は、数の子が好きなのかい?」 「このぷにぷに感が堪らないですわ!」 …というか、双子に味覚はあるのか…? ぷにぷに感ということは、感触だけなのか…? そもそも双子、食べ物が食べれたのか… 「あああ! ライラまた僕の玉子とったぁ!」 「とられたくなかったら名前でも書いておけばいいじゃない!」 …はぁ。 まあ…いいか。 今日くらいは、サヴァンの存在も許してやろう。 イヴェールも、初めての御節にとても喜んでいるみたいだし…、 この広い狭間で過ごすと、双子だけではどうしても寂しいようだから ライラとシャイターンをを連れてきたのだが、正解だったようだ。 食事は、大人数の方が美味しいものだ。 普段は、イヴェール一人で食べているしね――偶には、大騒ぎで食べるのも、楽しいだろう。 ライラとも、いい友達になったようだ。
またオチなし。 ■シャイたんとライラは両想いじゃなくてライラ←シャイたん。