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いつも見ている世界(しろ)が、本当は白じゃなかったらどうする?
本当は白じゃなくて、それが透明だったら。
いくつも連なった透明が生み出した、幻想の白だったら。
ねえあなたはどうする?


思うんだ。
世界の全ては一つの色で出来ている。
それは賛成。
でもそれは白じゃなくて、透明なんだ。
どんなに工夫しても奥の色しか見えない、幻の色。


ねえ思わない?
そんな気が、して来ない?
一番怖いのは白、なんて言うけれど。
もっと怖いのは、透明なんだよ。
何色にだって為れる色。
白にだって黒にだってなれるんだ。
ねえ恐ろしいと思わない?
謂わばそれは、細胞一つ一つまで完璧に真似ることの出来る変装師。
おそろしいと、おもわない?


恐ろしいと、思えてこない?
『何も無い(とうめい)』という、すべての色が。